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現役コンサルによる中小企業診断士試験対策&資格取得後のキャリア形成に関するブログ

【このブログの説明】
このブログでは、複数社のコンサルティングファームを渡り歩いた現役のコンサルタントが、中小企業診断士試験合格に向けたベスト戦略、中小企業診断士資格取得後のキャリア形成に関する情報を発信していく。コンサルティング経験に基づく本質的なコンサルティングスキルをベースに、独自の分析に基づく試験情報や経営コンサルタントとしてのキャリア形成上の要諦を公開していく。 読者が真の経営コンサルタントとして活躍できるような一石を世に投じられること、これを私の日々の目標とし、筆者自身もこのブログとともに成長していきたい。

【1次試験】企業経営理論の過去問チャレンジ ~組織形態(2)

今回は2018年度の1次試験突破を目指す受験生に向けた記事である。

それではさっそく過去問チャレンジ!

【過去問チャレンジ】
企業の規模や経営戦略、環境条件などさまざまな要因によって、組織が処理すべき情報の量や質が異なるため、それに応じて機能別部門組織(functional organization)、事業部制組織(divisional organization)、マトリックス組織(matrix organization)など、異なる組織構造をデザインする必要がある。これに関して、下記の設問に答えよ。(平成20年度企業経営理論 第11問)


(設問)
事業部制組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。

(ア) 事業部制組織では、各事業部は独立採算のプロフィットセンターとして管理されるために、複数の事業部にまたがる統合的な製品の開発などは遅れがちになる。
(イ) 事業部制組織では、各事業部を評価する統一的な基準がないために、本社機構のオーバーヘッドコストが高くなる傾向がある。
(ウ) 事業部制組織では、本社と事業部の間に擬似的な資本市場が存在することになり、一般に各事業部の限界利益率に応じて予算配分が行われる。
(エ) 事業部制組織は、複数の製品一市場分野に進出している企業で採用される傾向が高く、事業部間の高度な連携をとることが容易になる。
(オ) 事業部制組織は、本社の情報処理負担が軽減されるとともに、事業戦略に関する権限が本社に集中するために、事業部の再編成や既存事業の融合を通じた新規事業を創造しやすくなる。




















(解説)
事業部制組織とは、事業部という管理単位を本社のトップマネジメント下に編成した組織形態である。各事業部には営業、製造等の事業運営に必要な機能を配置し、事業部のトップ(事業部長)は事業運営に関する意思決定権限を持つことになる。つまり、事業部は自己完結型で運営可能な単位ということになる。事業部をどのような観点で組織化するかという基準については、「製品(サービス)別事業部制組織」「市場(顧客)別事業部制組織」「地域別事業部制組織」等がある。

以上の前提知識を踏まえ、以下の各選択肢を検証していく。

ア:特に違和感はない。プロフィットセンターとは企業の中で利益(=収益-費用)を最大化する責任を持つ部門のことである。事業部は独立採算のプロフィットセンターとして機能することになる。一方で、事情部は自己完結型で運営可能な独立色の強い組織単位であることから、従業員は自己の所属する事業部の利益優先になるインセンティブが働きやすい傾向があるため、複数の事業にまたがるような取り組みは困難となる。恐らく正解選択肢であると思われるが、他の選択肢を検証した上で判断する。

イ:オーバーヘッドコストとは、特定の製品の生産や販売から直接発生するコスト(直接経費)ではない間接経費のことである。本選択肢の例で言えば、事業部運営から直接生じるコスト(事業部経費)以外の本社費と解釈すればよいだろう。本選択肢で言う本社機構の例で言えば、本社社屋の減価償却費や賃料、総務や人事、経理部門の人件費等が挙げられる。さて、本選択肢を検証する上では、「各事業部を評価する統一的な基準がない(因)」⇒「本社機構のオーバーヘッドコストが高くなる傾向がある(果)」の因果関係の妥当性を検証する必要がある。まず(因)に関しては、選択肢アで説明した通り、事業部はプロフィットセンターとして機能する。全社的な評価基準という意味で言えば、各事業部ごとに投下資本収益率(ROI)等の統一された基準で評価することが一般的であるため妥当ではない(選択肢ウの解説も併せて参照)。この時点で(因)⇒(果)が成立しないので、誤りとなる。ゆえに×。
なお、本社機構のオーバーヘッドコストが大きくなるかどうかは企業によるかもしれないが、筆者の私見では小さくなる傾向にあるのではないかと思っている。なぜならば、事業部制組織では事業部ごとに業務部門(間接部門)も配置されることになるため、その分本社機構の間接人員はスリム化する(事業部制組織を採用した時点で、本社の間接人員リソースの一部を事業部移管して対応することが多い)と考えられるからである。ただし、各事業部に間接部門が配置されることで、事業部間で機能重複が発生する可能性があるため、全社視点から見たトータルの間接コストは大きくなる傾向にあるだろう。

ウ:「本社と事業部の間に擬似的な資本市場が存在することになり」の文章がややわかりにくいかもしれない。この文の意味するとことは、「本社は事業部に対して投資するので、事業部はその投資に見合ったリターンで応えてね」ということである。つまり、「本社」⇔「事業部」の関係は「株主」⇔「企業」の関係と類似ですよねとこの文は言っている。以上を踏まえた上で考えてみてほしい。あなたが複数の企業に対して投資をするとしよう。その時、あなたはどのよう指標に基づいて、各企業に対する資金配分を決めるだろうか?当然のことながら、投資に対する期待リターンに応じて投資をするはずである(本来の投資は「期待収益率」と「受容可能なリスク」のバランスでポートフォリオを決めることになるだろうが、ここでは話をシンプルにするため簡便化)。だとすれば、本社も同じである。各事業部のに投下資本収益率(ROI)応じて予算配分することになるだろう。以上より、「一般に各事業部の限界利益率に応じて予算配分が行われる」の「限界利益率」は妥当ではない。もちろん、本社が投資対効果を判断する上で限界利益率を1つの指標として活用することはないことはない。しかし選択肢の文「本社と事業部の間に擬似的な資本市場が存在する」を踏まえると、損益分岐点分析(P/L視点の分析)というよりは投資に対するリターンを直接評価可能な指標(P/L視点&B/S視点)である「投下資本収益率(ROI)」の方がより妥当性が高いといえる。ゆえに×。

エ:「事業部制組織は、複数の製品一市場分野に進出している企業で採用される傾向が高く」まで読み進めて、「事業部間の高度な連携をとることが容易になる」で違和感を感じたあなたは、その感覚でOK。選択肢アで説明した通り、事情部は自己完結型で運営可能な独立色の強い組織単位であることから、従業員は自己の所属する事業部の利益優先になるインセンティブが働きやすい傾向があるため、事業部間で高度な連携をとることは容易ではない。ゆえに×。

オ:「本社の情報処理負担が軽減される」は機能別組織と比較すれば軽減されるだろうが、「事業戦略に関する権限が本社に集中する」は誤りである。事業戦略に関する権限は事業部に委譲されるため、本社に集中しない。そうであると、事業部間の連携やセクショナリズムの除去が前提条件となるような取組み、つまり本選択肢でいうところの「事業部の再編成や既存事業の融合を通じた新規事業を創造」は一層困難になるだろう。ゆえに×。


以上より、(ア)が正解である。

(解答)
(ア)


前回の過去問チャレンジ(コチラ)で取り上げた機能別組織との特性の違いは、2次試験を見据えても非常に重要な論点である。テキスト等で理解を深めておいてほしい。


マジコン診断士

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現役コンサルタント。中小企業診断士試験独学ストレート1発合格。モットーは卓越した本質的スキル・知恵に基づく”マジなコンサル診断士”であり続けること。
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