【2次試験】答案作成のステップ総点検 ~答案骨子構築(4)
今回も前回の記事(コチラ)の続編として、答案作成のステップと3つの力の内、「答案骨子構築」にフォーカスして、あなたの答案作成のステップを点検していきたい。

前回の記事(コチラ)では、以下の平成26年度事例Ⅰの第4問を題材に答案骨子を構築している途中であった。
第4問
A 社の主力製品である試験管の良品率は、製造設備を内製化した後、60 %まで改善したが、その後しばらく大幅な改善は見られず横ばいで推移した。ところが近年、良品率が 60 %から 90 %へと大幅に改善している。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。
”良品率”というリンクワードをたどって第⑨段落にたどり着いたものの、そこには答案に必要な要素は存在しなかった。そこで次のアクションに移るわけだが、そこでキーとなるのは、設問解釈の際に設定した以下の仮説であった。
「近年」という時制に着目し、近年になにがあったかかが与件文に書かれているはずである(仮説)。
そこで、「近年」というリンクワードに着目して与件文を探しに行く。すると、以下の文があなたの目に飛び込んでくるはずである。
②段落(抜粋)
…生産部門は、製造第 1 課、第 2 課、品質管理課の 3 つの課で構成されている。第 1 課は主に試験管製造を、第 2 課がガラス管など試験管以外の精密ガラス加工製品の製造を担当し、近年昇進した中途採用者がそれぞれの課の課長を務めている。そして、人事・経理などを総務部が担当している。
第⑩段落(抜粋)
…工学博士号をもった社員を 5 年ほど前から採用し社内に研究室を開設したのも、研究開発力をより強化し、新たな事業分野を開拓するためである。その成果こそいまだ未知数であるが、精密ガラス加工技術を応用した新製品の芽が確実に育ちつつある。さらに、近年、新たに大学院卒の博士号取得見込者を採用し、研究開発力強化に積極的に取り組んでいる。
驚くことなかれ。これだけ長い与件文の中で、「近年」というワードが書かれているのは上記2つの段落のみである。試験委員が「この2つの段落を答案の根拠として使いなさいよ」と言わんばかりのヒントである。
※こういう情報発信の仕方をすると、答案の根拠に利用するか否かに関わらず、与件文に「近年」というワードを多く散りばめて受験生を混乱させるのが試験委員である。こういったやり方は「”近年”ときたら絶対答案の根拠になる」等という覚え方をしてはいけない。「時制に注意して設問文と与件文を対応付けしよう」くらいに「ゆるやかで融通が効く」ような覚え型をするのがコツである。
以上の2つの与件文から、近年A社に起こったことは以下の2点であることが分かる。
①生産部門の製造第1課、第2課の課長は中途採用者であり、かつ近年課長に昇進した。
②近年、大学院卒の博士号取得見込者を新たに採用した。
さて、本設問の題意は「近年、良品率が 60 %から 90 %へと大幅に改善している」要因であった。そして「近年」というリンクワードに基づいて新たに入手した情報は、上記の2点(「生産部門の2名の課長は近年昇進したこと」と「近年大学院卒の博士号取得見込者を採用したこと」)であった。この内容だけから答案の骨子を構築すると、以下の通りとなる。
「近年昇進した生産部門2名の課長がいること」と「近年採用した大学院卒の博士号取得見込者がいること」(原因)
⇓
「良品率が 60 %から 90 %へと大幅に改善している」(結果)
上記の2つの骨子に関して、あなたは何も違和感を感じないだろうか?この文を読んで
「近年昇進した生産部門2名の課長がいること」がなぜ良品率の大幅な改善につながったのか?
「近年採用した大学院卒の博士号取得見込者がいること」がなぜ良品率の大幅な改善につながったのか?
とあなたが突込みを入れたくなったのであれば、あなたは「論理」を感覚的に理解できている。あなたが感じていることを代弁すれば、上記の答案骨子には「論理の飛躍」があるのである。
では、上記の答案骨子のどこに論理の飛躍があるのだろうか?あなたはこの質問に論理的に回答できるだろうか?
続きは次回でお話しするので、少し考えておいてほしい。
マジコン診断士
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第4問
A 社の主力製品である試験管の良品率は、製造設備を内製化した後、60 %まで改善したが、その後しばらく大幅な改善は見られず横ばいで推移した。ところが近年、良品率が 60 %から 90 %へと大幅に改善している。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。
”良品率”というリンクワードをたどって第⑨段落にたどり着いたものの、そこには答案に必要な要素は存在しなかった。そこで次のアクションに移るわけだが、そこでキーとなるのは、設問解釈の際に設定した以下の仮説であった。
「近年」という時制に着目し、近年になにがあったかかが与件文に書かれているはずである(仮説)。
そこで、「近年」というリンクワードに着目して与件文を探しに行く。すると、以下の文があなたの目に飛び込んでくるはずである。
②段落(抜粋)
…生産部門は、製造第 1 課、第 2 課、品質管理課の 3 つの課で構成されている。第 1 課は主に試験管製造を、第 2 課がガラス管など試験管以外の精密ガラス加工製品の製造を担当し、近年昇進した中途採用者がそれぞれの課の課長を務めている。そして、人事・経理などを総務部が担当している。
第⑩段落(抜粋)
…工学博士号をもった社員を 5 年ほど前から採用し社内に研究室を開設したのも、研究開発力をより強化し、新たな事業分野を開拓するためである。その成果こそいまだ未知数であるが、精密ガラス加工技術を応用した新製品の芽が確実に育ちつつある。さらに、近年、新たに大学院卒の博士号取得見込者を採用し、研究開発力強化に積極的に取り組んでいる。
驚くことなかれ。これだけ長い与件文の中で、「近年」というワードが書かれているのは上記2つの段落のみである。試験委員が「この2つの段落を答案の根拠として使いなさいよ」と言わんばかりのヒントである。
※こういう情報発信の仕方をすると、答案の根拠に利用するか否かに関わらず、与件文に「近年」というワードを多く散りばめて受験生を混乱させるのが試験委員である。こういったやり方は「”近年”ときたら絶対答案の根拠になる」等という覚え方をしてはいけない。「時制に注意して設問文と与件文を対応付けしよう」くらいに「ゆるやかで融通が効く」ような覚え型をするのがコツである。
以上の2つの与件文から、近年A社に起こったことは以下の2点であることが分かる。
①生産部門の製造第1課、第2課の課長は中途採用者であり、かつ近年課長に昇進した。
②近年、大学院卒の博士号取得見込者を新たに採用した。
さて、本設問の題意は「近年、良品率が 60 %から 90 %へと大幅に改善している」要因であった。そして「近年」というリンクワードに基づいて新たに入手した情報は、上記の2点(「生産部門の2名の課長は近年昇進したこと」と「近年大学院卒の博士号取得見込者を採用したこと」)であった。この内容だけから答案の骨子を構築すると、以下の通りとなる。
「近年昇進した生産部門2名の課長がいること」と「近年採用した大学院卒の博士号取得見込者がいること」(原因)
⇓
「良品率が 60 %から 90 %へと大幅に改善している」(結果)
上記の2つの骨子に関して、あなたは何も違和感を感じないだろうか?この文を読んで
「近年昇進した生産部門2名の課長がいること」がなぜ良品率の大幅な改善につながったのか?
「近年採用した大学院卒の博士号取得見込者がいること」がなぜ良品率の大幅な改善につながったのか?
とあなたが突込みを入れたくなったのであれば、あなたは「論理」を感覚的に理解できている。あなたが感じていることを代弁すれば、上記の答案骨子には「論理の飛躍」があるのである。
では、上記の答案骨子のどこに論理の飛躍があるのだろうか?あなたはこの質問に論理的に回答できるだろうか?
続きは次回でお話しするので、少し考えておいてほしい。
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