FC2ブログ

現役コンサルによる中小企業診断士試験対策&資格取得後のキャリア形成に関するブログ

【このブログの説明】
このブログでは、複数社のコンサルティングファームを渡り歩いた現役のコンサルタントが、中小企業診断士試験合格に向けたベスト戦略、中小企業診断士資格取得後のキャリア形成に関する情報を発信していく。コンサルティング経験に基づく本質的なコンサルティングスキルをベースに、独自の分析に基づく試験情報や経営コンサルタントとしてのキャリア形成上の要諦を公開していく。 読者が真の経営コンサルタントとして活躍できるような一石を世に投じられること、これを私の日々の目標とし、筆者自身もこのブログとともに成長していきたい。

【全読者対象】ワールド杯ポーランド戦における西野監督の判断を考察してみる

先日、サッカーワールドカップの日本vsポーランド戦が行われた。


筆者はリアルタイムでTV観戦していたのだが、試合後の率直な感想は以下の通り。


しかしこの試合、西野監督のとある判断が世界中で論争となっている。


その論争に関して、西野監督がどのような思考プロセスを経てあのような判断をしたのかについて、筆者なりに考察してみようと思う。



この日本vsポーランドの試合は予選リーグの3戦目だったのだが、2戦目までの終了時点で、日本が属するH組における各国の勝点の状況は以下の通りであった。


1位:日本     1勝1分け 勝点4
2位:セネガル  1勝1分け 勝点4
3位;コロンビア 1勝1敗 勝点3
4位:ポーランド 0勝2敗 勝点0


2位以上のチームが決勝トーナメント(以下、決勝T)に進出できる。日本はポーランドに勝ち、もしくは引き分けであれば、決勝Tへの進出が決定する。しかし、もしポーランドに負ければ、日本の決勝T進出は同時刻に行われるセネガルvsコロンビア戦の結果次第という状況であった。


日本は前半を0-0で折り返したが、後半13分にセットプレーから失点してしまい0-1となる。


0-1のままだと、日本の決勝トーナメントセネガルvsコロンビアの結果次第という状況になる。なお、この時点ではセネガルvsコロンビアは0-0で、このまま終了となると日本は敗退してしまうという状況であった。そのため、日本は乾(セネガル戦で素晴らしい活躍をした選手)を投入して、得点を狙いに行った。しかし流れは変わらずあまりうまくいかない。


その時である。


コロンビアvsセネガルの試合が動いた。


後半29分にコロンビアが先制。


このままの状態で試合が終了すればコロンビアは勝点6となり、グループ1位となる。


そして日本とセネガルは勝点は4のまま変わらないが、反則数(イエローカード、レッドカードの枚数)のより少ない日本が決勝Tに進出できるという状況になった。



そして後半38分、西野監督が動く。


後半38分に、フォワードの武藤に代えて守備的なミッドフィルダーの長谷部を投入。


この時点で、西野監督は「0-1の負けでよいので、この試合をこのまま終わらせる」というメッセージをピッチ上の選手に発信したことになる。



その後、日本は勝利を放棄したかのうような動きをする。


ピッチの後ろ半分で蹴鞠をするかのようにひたすらボールを回し続け、時間を稼いで試合終了のホイッスルを待つ。



このことは、「日本がポーランドから得点をして、自力で決勝T進出を勝ち取る」という選択を自ら放棄したことを意味する。


なぜならば、仮に日本が0-1のまま試合を終わらせることができたとしても、セネガルがコロンビアに追いついた時点で日本の敗退が決まるからである。


つまり、西野監督のこの判断は「日本代表が自力で決勝Tに進出する可能性を捨てて、セネガルvsコロンビアの結果(他力)に日本の決勝T進出の運命を託した」ことを意味する。



結果的に、日本はこのまま試合を終わらせることができた上、セネガルvsコロンビアも試合が動かなかったため、西野監督の算段通りの結果となって日本は決勝Tに進出することになった。


勝てば官軍


日本代表は目標とする決勝Tに進出したわけだから、西野監督の判断は誰が何と言おうと正しかったということになる。



以上を大前提としながら、「自力で決勝Tに進出する可能性を捨て、他会場の試合結果に運命を託した」西野監督の判断に関して、筆者なりに考察してみようと思う。



後半29分にコロンビアが先制した時点で、西野監督の頭の中には以下の表が出来上がっていたはずである。
日本代表の戦術①
西野監督が判断すべきコントロール可能な戦術は表左側の2つ。


1つは「ポーランドと普通に闘う」戦術、もう1つは「時間稼ぎしてこのまま終わらせる」戦術である。


後者の「時間稼ぎしてこのまま終わらせる」戦術は、日本代表がピッチの後ろ半分でボールを回してさえいれば、相手のポーランドはボールを奪うことはできないため、スコアは何も変わらず0-1のまま終了する可能性が極めて高い。
※より具体的に言えば、ポーランドは2連敗で決勝T進出の可能性は0であった。したがって、ポーランドはこの試合で1勝して最低限の「誇り」を母国に持ち帰ることさえできれば、これ以上頑張って得点をする必要はない。つまり、ポーランドにもこれ以上攻めて得点するインセンティブはなかったということである。


しかし前者の「ポーランドと普通に闘う」戦術はポーランドとの一騎打ちを継続するというオプションになるため、あらゆる可能性が想定される。

試合が均衡して0-1のまま終わる可能性もあるが、日本が得点して1-1の同点となって自力で決勝Tに進出する可能性もあれば、日本が更に失点して0-2で敗退が決定する可能性もある。


もちろん、緑色の列記載の他会場の結果が日本の「決勝T」or「敗退」に影響を及ぼすという、日本代表ではコントローラできない要素が存在することが前提である。



以上の表を元に、西野監督はどのように戦術を決定したのか?


それは以下の通りと筆者は考える。
日本代表の戦術②
まず他会場の結果に関しては、コロンビアとセネガルを比較した場合、戦力的な面でもW杯での経験や実績面でも、コロンビアに分があると判断したと思われる。つまり、コロンビアがこのまま勝利する可能性の方が高いと考えたということである。

ここは日本代表ではコントロール不可能な要素ではあるが、あくまで確率論的にどうかという判断をすることになる。
※両チームの過去の対戦データやW杯の戦歴等のファクトとなる情報があれば、より自信を持って判断できるだろう。


以上を前提に日本の採用する戦術を検討する。

まず「ポーランドと普通に闘う」戦術であるが、「日本が得点する」「日本が失点する」「何も変わらない」の3つの可能性があるが、この結果に関しては予測がつかない状況であった。

というのも、ポーランド戦のスタメンに、西野監督は以下の通り西野体制では良い試合をした実績のない選手を多く起用してしまった。


後半29分までのポーランド戦の試合を見ていればわかるが、お世辞にもこの布陣がうまくいっていたとは言えなかった。しかも切ることのできる交代カードは1枚のみ。この状況では、必ず得点を取れる、そして失点をしないということに西野監督自身が自信を持てなかったのだろう。つまり、「日本が得点する」「日本が失点する」「何も変わらない」の3つの可能性は五分五分だったと言えるだろう。なお、もし西野監督がこの戦術を採用していたら、最後の交代カードは長谷部ではなく本田だったはずである。

そして何より、「ポーランドと普通に闘う」戦術を採用してしまうと、ポーランドのチャンスをつぶす過程で、イエローカードやレッドカード等の警告をもらう可能性が高まる。警告がこれ以上増えると、自ら敗退する可能性を高めてしまうという点も見逃せない。



一方、「時間稼ぎしてこのまま終わらせる」戦術はどうだろうか?

先ほども述べたように、そもそもポーランドはこれ以上得点を取るインセンティブがない。

つまり、日本がずっとボールを回して時間を稼いでいさえすれば、試合はこのまま0-1で終了させられる可能性が確率論上も高い。

そして時間稼ぎを遅延行為とみなされない限り、イエローカードやレッドカード等の警告をもらう可能性もほぼない。


以上より、確率論的な観点で考えれば、上記マトリックス表の”確率が高い”同士を掛け合わせた戦術である「時間稼ぎしてこのまま終わらせる」以外に採用しようがないということになる。


以上の理由を踏まえた結果が、以下のツイートである。


サッカーの試合は絶えず動いているし、W杯は凄まじいほどにプレッシャーのかかる状況であろう。


あのような状況で冷静に西野監督が判断を下せたのは、恐らくこの状況は事前にシミュレーションしていたものと推測される。


やはりあらゆることにおいて、「準備」は大切であると改めて感じた。



以上、筆者なりの考察を書いてきたが、一方で上記の結論をあの状況で実行に移せる西野監督のメンタルには脱帽である。


というのも、そもそもボールを回して時間を稼ぐという行為そのものが「反スポーツマンシップ」として批判されることは明らかであるし、ましてセネガルが得点をしてしまっていたら、日本は敗退に追い込まれていたのである。

反スポーツマンシップとの批判の受けることが明らかな上、自ら勝ちに行く戦術を捨ててもし負けたりしたら、それこそ西野監督の監督人生は終了してしまうかもしれない。

あそこで自らの意思を貫いて自己の判断を実行に移す西野監督は、本当にスゴイと思う。


もちろん、「そもそもポーランド戦のスタメンはどうだったのか?」「スポーツ新聞に試合前日にスタメンがダダ洩れになっているが、情報管理は一体どうなっているのか?」といった疑問点がないことはないが、実際に決勝Tに進めたので、これも課題として決勝Tに向けて解消していっていただくことを日本代表サポーターの一人として強く願っている。
※スタメン変更に関しては、恐らく西野監督はベスト8を本気で狙いにいっていることの意志の表れだと思われる。つまり、ポーランド戦で疲労が溜まっていたり、イエローカードをもらっている選手の出場を回避することで、決勝Tの1回戦にベストメンバーで臨むための采配だったのだろう。とはいえ、これまでの2戦のよい流れや現状の日本代表の実力、対戦相手であるポーランドの実力を総合的に勘案した場合、かなりリスキーなスタメンだったと思う。


なお、本件の論争において「高い金を払って観戦に来ている観客に申し訳ないじゃないか!」「時間稼ぎで勝ち上がってよいのか?」「他力本願により自らの試合の勝利を放棄するとはなにごとだ!」等の意見もあるようだが、そのような意見が出る理由は、この判断に対してサッカーのエンターテイメント性や感情論をごちゃまぜにして考えているからである。「求める成果(日本が決勝Tに進出する)を出せる確率が最も高いアクションは何か?」という点だけに焦点を絞れば、そのような議論にはならないはずである。


W杯における真剣勝負の中に見える「戦術眼」にも、我々が学ぶ材料はたくさん転がっている。


マジコン診断士

「本記事が参考になった」という方、または「次回の記事に期待している」という方、または「本ブログを応援している」という方は、お手数だが以下をポチっとお願いしたい。
         ↓
にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ
にほんブログ村

follow us in feedly

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

マジコン

Author:マジコン
現役コンサルタント。中小企業診断士試験独学ストレート1発合格。モットーは卓越した本質的スキル・知恵に基づく”マジなコンサル診断士”であり続けること。
■Twitter→コチラ
■執筆(note)→コチラ

本ブログの意義
本ブログの意義
本ブログのターゲットとなる読者層
ターゲット
カテゴリ
関連記事
月別アーカイブ
最新コメント
最新記事
リンク
ブログランキング(今何位?)
にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ
にほんブログ村
検索フォーム
マジなコンサル診断士のTwitter
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR