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現役コンサルによる中小企業診断士試験対策&資格取得後のキャリア形成に関するブログ

【このブログの説明】
このブログでは、複数社のコンサルティングファームを渡り歩いた現役のコンサルタントが、中小企業診断士試験合格に向けたベスト戦略、中小企業診断士資格取得後のキャリア形成に関する情報を発信していく。コンサルティング経験に基づく本質的なコンサルティングスキルをベースに、独自の分析に基づく試験情報や経営コンサルタントとしてのキャリア形成上の要諦を公開していく。 読者が真の経営コンサルタントとして活躍できるような一石を世に投じられること、これを私の日々の目標とし、筆者自身もこのブログとともに成長していきたい。

【2次試験】事例企業との向き合い方

昨日、筆者は以下のツイートをした。


以上の内容は、「コンサルティングの本質」の1つであると筆者は考えている。



コンサルタントというと「経営戦略の立案を支援する人」というイメージがあるが、筆者は戦略を立案するだけのコンサルはマジなコンサルではないと考えている。


というのも、戦略は単なる仮説でしかない。


どれだけ立派な内容だとしても、仮説は所詮仮説でしかない。


戦略は着実に実行されて求める成果を上げて初めて、クライアントとってのバリューになるのである。
※上記ツイートの意味は、戦略の実行過程で組織文化の変革が起こるように仕向けるのがミソという意味である。この点についてはいずれ本ブログで発信しようと思う。


その時に肝になるのは、戦略を実行する「現場の従業員」であることに疑いの余地はない。



さて、2次試験においても、あなたは中小企業診断士として事例企業と真剣に向き合い、事例企業に寄り添った実効性の高い提案をしたいという思いを強く持っていることだろう。



しかし、リアルなコンサルと比較して2次試験は1点だけ難しいと感じることが筆者にはある。


それは


戦略を実行する事例企業の従業員の顔や声、行動が見えにくいこと


である。




もちろん、事例企業にも日々汗を流して働いている従業員がいるはずである。



しかし2次試験はあくまで紙面上で行うコンサルティングである。



当たり前のことだが、あなたは事例企業の従業員に会うこともできなければ、直接コミュニケーションを図ることもできない。




このような制約がある中で、どうやって事例企業と向き合い、事例企業に寄り添った実効性の高い提案をすればよいのだろうか?



その手段は1つしかない。


与件文に書かれている「事実」をしっかりと読み、事実に基づいて目の前の事例企業にとっての実効性の高い提案をすること


このことに尽きる。



2次試験は、題意に対する方向性が合っていたとしても、事例企業に向き合っていない答案、すなわち内容は正しいがどの企業にでも当てはまるようないわゆる「一般論答案」には合格点はつかないような採点がなされている(ように思える)。


つまり採点官から見れば、あなたが知識に頼って(言わば楽をして)答案を書いたか、事例企業にきちんと向き合って答案を書いたかが一発でわかるということである。


今年の2次試験突破に向けて、あなたは既に歩みを進めていることと思う。


今年の2次試験は、きちんと目の前の事例企業に向き合い、事例企業に寄り添った実効性の高い答案を書けるような訓練を心掛けてほしい。


マジコン診断士

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【1次試験】企業経営理論の過去問チャレンジ ~組織活性化(1)

今回は2018年度の1次試験突破を目指す受験生に向けた記事である。

それではさっそく過去問チャレンジ!

【過去問チャレンジ】
営業部門や製造部門、あるいは研究開発部門などの間で、しばしば部門間コンフリクトが発生することがある。このような場合、コンフリクトへの対応として最も適切なものはどれか。(平成18年度企業経営理論 第13問)

(ア) コンフリクトを起こしているそれぞれの部門内に独自にトレーニング・グループをつくり、組織開発の手法をとり入れた訓練を行う。
(イ) コンフリクトを起こしている部門間に共通の目標を共有させ、情報を共有させるとともに、各部門の専門性を損なわないよう独立した評価システムを導入する。
(ウ) コンフリクトを起こしている部門に対して、インターネットなどのITを導入して情報を共有させ、直接に共同の意思決定をする機会そのものを減らす。
(工) コンフリクトを起こしている両部門を1つの部門に統合することを通じて、相互依存を認識しなくでは意思決定できないようにし、予算や人件費を削減する。
(オ) 部門間人事異動を定期的もしくは不定期に行うことを通じ、それぞれの部門の目標や課題を理解できる人材を増やし、コミュニケーションを活発にするような横断的関係を設ける。




















(解説)
今日から組織活性化に関する問題を取り上げる。今回は部門間コンフリクトに関する問題である。

コンフリクトは、衝突、葛藤、対立といった意味の言葉である。個人はみな違うし、組織間で利害は異なることも多いので、組織においてコンフリクトは不可避なものであろう。字面だけ見ると、コンフリクトは組織運営におけるネガティブなものとして捉えられがちなのだが、その過程を通じて組織活性化へとつながる場合も多いというポジティブな側面もある。このように、コンフリクトを組織活性化や組織構成員の成長機会と捉えて積極的に活用していこうとする考え方をコンフリクトマネジメントという。

コンフリクトが発生した際に人間がとる態度は、以下の5つに分類される。
①競争:権力や圧力で、自らの意見を相手に強制する。Win-Loseの関係になる。
②受容:相手の意見を受け入れる。Lose-Winの関係になる。
③妥協:双方が要求水準を落として譲歩する。
④回避:対立状況自体を回避して、先延ばし。
⑤協調:双方の利得を大きくするような解決策を見つける。Win-Winの関係になる。

コンフリクトの解消のポイントは、コンフリクトが発生している部門間の関係を「Win-Lose(=ゼロサム)」や譲歩・先延ばしの関係から「Win-Win(双方が現時点よりも向上する)」方向に持っていくことにある。上記の5つの態度を見れば、「⑤協調」のアプローチにより解消を図ることが、コンフリクトマネジメントの基本であることはおわかりいただけるだろう。


それでは各選択肢を検証する。

ア:本設問は「部門間コンフリクトへの対応」に関する問題なので、「それぞれの部門内」で独自にトレーニングをしただけでコンフリクトの解消や活用ができるはずもない。部門間コンフリクトの解消や活用上大事なのは、「部門間の人間を交わらせて何をするか」であるゆえに×。

イ:「コンフリクトを起こしている部門間に共通の目標を共有させ、情報を共有させるとともに」まで読んで「ふむふむ」と思いながら、「各部門の専門性を損なわないよう独立した評価システムを導入する」でズッコケたあなたは、その感覚でOK。「せっかく共通の目標と情報を共有をしたのであれば、部門間協働での目標達成を促進するような評価システムにしろよ!」ということ。つまり、共通の目標、情報の共有だけではコンフリクトの解消にはならないでしょということ。ゆえに×。

ウ:「 コンフリクトを起こしている部門に対して、インターネットなどのITを導入して情報を共有させ、直接に共同の意思決定をする機会そのものを減らす。」って…、オイ!!例えれば、喧嘩した恋人同士が同じ部屋にいるにも関わらず、直接話さずにLINEでコミュニケーションしているみたいな感じだろうか?コンフリクトを解消するのなら、ITツール使った間接的なコミュニケーションではなく、直接のコミュニケーションで共同の意思決定をする機会を増やさねばダメでしょう。ゆえに×。
※最近はミーティングの効率化のために、同じ部屋にいながらもチャットで意見交換を行う落合陽一氏のような人もいるが、その話とこの話は別。

エ:「コンフリクトを起こしている両部門を1つの部門に統合することを通じて、相互依存を認識しなくでは意思決定できないようにし」を読んだ時点で、ちょっとドラスティックかつ安直な方法、かつコンフリクトが発生した状態での統合は統合時の組織運営リスクが高いようにも思える。しかし中長期的な視点での対応方法としてないことはないかもしれないと思いつつ、続けて選択肢の文を読む。すると、「予算や人件費を削減する」で「え?!」と違和感を感じたあなたは、その感覚でOK。コンフリクトを起こしている部門そのものは確かに統合されたかもしれないが、その部門構成員は出身部門の考え方や人間関係を持ち込んだまま1つの部門に収まっているはずである。その部門に対して予算や人件費削減を図ると、コンフリクトが再燃したり、新たに別の部門とのコンフリクトが発生する(なぜそちらの部門は前年と同じ予算・人件費なのに、うちの部門はカットされるんだ!等)はずである。ゆえに×、

オ:特に違和感はない。部門間人事異動を定期的もしくは不定期に行うことで、各部門の目標や課題を理解できる人材は増えるだろうし、コミュニケーションを活発にするような横断的関係を設けることもコンフリクト解消に効果的であろう。選択エの部門統合でも各部門の目標や課題を理解できる人材は増えるだろうが、やはりリスクはかなり高い。その意味で言えば、本選択肢が最も自然な対応と言える。ゆえに〇。


以上より、オが正解となる。

(解答)
(オ)


ここで少し余談を。

筆者は意図的にコンフリクトを発生させるような場を作り、コンフリクトマネジメントを通じて組織活性化を図るという手法をコンサルティングにおいて多用する。その際に筆者が考えていることは、さきほどご説明したコンフリクト発生時の人間の5つの態度の内、「⑤協調」に持っていくことだけである。

コンサルの立場である筆者は、そこに持っていくために必要に応じてファシリテートする役割に徹する。ハッキリ言って、綺麗な資料を作ってロジカルなプレゼンテーションをするより、コンフリクトマネジメントを通じてクライアントの自発的取り組みを促進する方が圧倒的にレバレッジが大きい。最初はクライアント企業の従業員同士に本音で議論させることに恐怖を感じるかもしれないが、そのうち慣れてくるのでトライしてみてほしい。筆者も最初は怖かったが、その効果に気づいてからはガンガンやるようになった。今となっては、筆者は敢えて火に油を注ぐような呼び水を出して、議論の過程で衝突を意図的に大きくしたりしてる(笑)。別に遊びやいじわるでそういうことをしているわけではなく、その分効果は大きくなるのである。


マジコン診断士

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【キャリア】”一時の恥” or ”一生の恥”

コンサルタントという職業は、一般的に頭脳労働と認識されている。


もしそのような世間の認識をベースにした場合、あなたが中小企業診断士として世に出た時、陥りがちな罠がある。



それは


わからないこと(知らないこと)をわからない(知らない)と言えなくなる


ことである。




あくまで筆者の感覚値だが、コンサルティングファームにはこのような人が非常に多い。


また、(コンサルに限らず)年齢が高くなればなるほどこのような人が多くなる感覚がある。




正直、筆者には「知らないこと(わからない)ことを知らない(わからない)」と言えない人の気持ちの方がまったくわからない。


しかし、筆者はこのような人の気持ちを理解する上で1つだけ仮説を持っている。



そのヒントは以下のことわざにある。


「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」


このことわざからもお分かりいただける通り、わからないこと(知らないこと)をわかったふり(知ったふり)をして得られるメリットは、「一時の恥を回避できること」だけである。


つまり、


「知らないこと(わからない)ことを知らない(わからない)」と言えない人にとっては、一生の恥より一時の恥の方が重要と考えている


という他、筆者には考えられない。



先ほど筆者は、「知らないこと(わからない)ことを知らない(わからない)」と言えない人の例として、以下2つを挙げた。


・コンサルティングファームにはこのような人が非常に多い。

・(コンサルに限らず)年齢が高くなればなるほどこのような人が多くなる感覚がある。


コンサルタントは頭脳労働者だと一般的に認知されているため、コンサルティングファームに所属している人間にとっては一時の恥が許せないのかもしれない。


年齢が高くなるとそれだけ人生経験も豊富と一般的に認知されているため、一時の恥が許せないのかもしれない。


特に近年はGoogle先生に聞けばすぐに回答が得られるので、すぐに調べてあたかも最初から知っていたかのように振る舞うことも極めて容易である。


具体例を見ても、筆者の仮説はおおよそ合ってそうだ。


ちなみに筆者は、一時の恥を積み重ねて今に至ってる。そして死ぬまでこのスタンスを変えないように十分気を付けようと考えている。なぜならば、このスタンスをやめてしまうと、筆者の成長スピードは急激に低下することが確実だからである。
※過去記事「【1次試験】財務・会計のちょっとした雑談 ~ずぶの素人でも会計コンサルになれた」に一例がある。





さて、本ブログを読んでいる読者の方には「中小企業診断士」という肩書を持って他者と接する人もいることだろう。



そんなあなたに確認である。


「中小企業診断士としてのあなたは一時の恥を選びますか?一生の恥を選びますか?」


(注意)
本記事は、「何も調査・勉強することなしに、わからないことがあればなんでも他者に聞きましょう」等ということをあなたに促しているわけでない点はご注意いただきたい。


マジコン診断士

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【1次試験】企業経営理論の過去問チャレンジ ~組織形態(Final)

今回は2018年度の1次試験突破を目指す受験生に向けた記事である。


3回に渡って取り上げた組織形態の過去問チャレンジも4回目の今回で最後。これまでの復習に最適な過去問をセレクションしてみたので、あなたの学習の”再現性”を確かめる目的で取り組んでみてほしい。


それではさっそく過去問チャレンジ!

【過去問チャレンジ】
機能別組織、事業部制組織、マトリックス組織の特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。(平成28年度企業経営理論 第12問)

(ア) 機能別組織は部門間で緊密な調整が必要な場合に有効であるが、安定した環境のもとで官僚制的な組織になるという短所がある。
(イ) 事業部制組織が有効に機能するためには、トップマネジメントが業務的意思決定から解放され、戦略的意思決定と管理的意思決定に専念できるようにする必要がある。
(ウ) 事業部制組織は複数の製品―市場分野を持つ企業が、範囲の経済を実現するのに適しているが、規模の経済を追求することは難しい。
(エ) マトリックス組織は変化の速い環境で部門間の相互依存が高い場合に有効であるが、コンフリクトや曖昧さを許容する組織文化を持たないと効果的に機能しにくい。
(オ) マトリックス組織を効果的に管理するためには、人の部下に対して、機能マネジャーとプロダクトマネジャーが同じ権限を持っていなければならない。




















(解説)
過去3回の過去問チャレンジで取り上げた機能別組織、事業部制組織、マトリックス組織に関する問題なので、その前提知識を踏まえ、各選択肢を検証する。

ア:「機能別組織は部門間で緊密な調整が必要な場合に有効である」を読んだ時点で、あなたは違和感を感じでこの選択肢を落とさねばならない。機能別組織は名前の通り、営業、生産、購買、人事、研究開発等の機能別に編成された組織形態なので、機能部門間で利害が一致しない場合が多く、その調整をどうコントロールするかが肝になる。機能部門間調整の役割は、トップマネジメントが行うため、トップマネジメントの負担が大きくなる。ゆえに、「機能別組織は部門間で緊密な調整が必要な場合に有効」とは言えないので、×。なお、機能別組織は言い換えれば縦割り組織とも言えるため、「安定した環境のもとで官僚制的な組織になるという短所がある」は正しい。

イ:「トップマネジメントが業務的意思決定から解放され、戦略的意思決定と管理的意思決定に専念できるようにする必要がある。」を読んだ時点で違和感を感じたあなたは、その感覚でOK。トップマネジメントが専念すべきは「戦略的意思決定」であり、「管理的意思決定」はミドルマネジメントが専念すべきものである。つまり、「トップマネジメントは”管理的意思決定”と”業務的意思決定(=ロワーマネジメントが専念すべきもの)”から解放され、戦略的意思決定に専念できるようにする必要がある」が正解となるため、×。

ウ:やや紛らわしいが、「 事業部制組織は複数の製品―市場分野を持つ企業が、範囲の経済を実現するのに適している」で違和感を感じてほしい。範囲の経済を実現するのに適しているのは、マトリックス組織である。
範囲の経済に関しては、過去記事「【1次試験】企業経営理論の過去問チャレンジ ~範囲の経済性(前編)」と「【1次試験】企業経営理論の過去問チャレンジ ~範囲の経済性(後編)」を参照いただきたいが、要は「複数事業を運営することによる”共通経費”の節約」がポイントである。事業部制組織は確かに複数事業を運営することにはなるが、機能が事業部で重複するため、どちらかというとコストアップにつながりやすい。その意味で範囲の経済を実現するのに適しているとは言い難い。一方でマトリックス組織は、ワンマンツーボスシステムさえ有効に機能すれば、経営資源の有効活用につながる、すなわちマトリックス組織採用の狙いの1つは、「範囲の経済性の追求」になるということである。
なお、事業部制組織が「規模の経済を追求することは難しい」は正しい。なぜならば、機能別組織から事業部制組織に移行した場合、事業部の規模や生産量は機能別組織の時それ(=全社の規模、生産量)ほどは当然大きいならないことから、製品1個当たりの平均費用低減効果が減少するためである。

エ:違和感はない。「変化の速い環境」と「部門間の相互依存が高い」の2つの特性は重要なキーワードである。というのも、本選択肢に書かれている2つの特性が圧力そのものであり、この圧力に対して組織形態でパワーバランスを取ることこそがマトリックス組織を採用する意味だからである。一方で、マトリックス組織はワンマンツーボスシステムによるコンフリクトの発生や、責任所在は不明瞭になったりする曖昧さが出るといったデメリットもある。その意味で言えば、そのようなデメリットを許容する文化がなければ、効果的に機能させることは難しい組織形態と言えるだろう。
恐らく正解選択肢だと思われるが、念のため選択肢オも確認する。

オ:この問題は解説するまでもない。過去記事「【1次試験】企業経営理論の過去問チャレンジ ~組織形態(3)」の選択肢イと同様の論点である。ゆえに×。


以上より、エが正解となる。

(解答)
(エ)


いかがだっただろうか?組織形態に関しては、比較的過去問と出題論点が類似していることがお分かりいただけると思う。1次企業経営理論対策という意味では、まずはこのような基本論点にしっかりと対応できるような学習を進めてほしい。そしてこれらの論手は、2次試験においても重要である。ぜひ他人に説明できるようなレベルまで理解を深めていただきたい。

なお、今回の過去問チャレンジでは取り上げなかったが、カンパニー制や持株会社制(平成29年度で出題された)、プロジェクト組織等も併せて確認をしておいてほしい。


マジコン診断士

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【1次・2次共通】試験で結果を出すための一番のポイント

今回は中小企業診断士試験合格を目指すあなたへに向けた記事である。


「試験で結果を出すための一番のポイントは何か?」と聞かれた時、あなたはどのように答えるだろうか?



勉強量を最大化すること?


モチベーションを維持すること?


過去問中心の勉強をすること?




きっと回答は人それぞれだろう。





このQuestionに対する筆者の回答はいつも同じである。



それは


再現性を意識した勉強をすること


である。




受験校に通学しているあなたは、きっと受験校で素晴らしい授業を受けていることであろう。


独学で学習しているあなたは、きっとネット動画で素晴らしい授業を受けたり、素晴らしい内容の参考書を通じたインプットをしていることだろう。


診断士試験に合格するために、学業や仕事で忙しい中でも日々スキマ時間を見つけながら、多くの時間を勉強に投入していることだろう。



しかし、

どれほど良質なインプットをしていたとしても、どれほど勉強に多くの時間を投入していたとしても、インプットした内容を本試験で再現できなければ、試験に合格することはできない

ということをここで改めて認識していただきたい。




なんとなく理解した


なんとなく覚えていた


なんとなく解いたら正解した


これらの「なんとなく」は、本試験での再現性を担保する勉強にはなり得ない。




そして中小企業診断士試験は過去問と同じ問題が出題されることはないので、


答えを覚えていたので正解した


という勉強も再現性を担保する要素になることはない。




本試験で結果を出せる人とそうでない人の差は「再現性を意識した勉強をどれだけ積み重ねているかどうか」にかかっている。


本記事では、「再現性を意識した勉強とはどういうものか?」という解をあなたに提示することは敢えてしない。


ぜひ自分自身で一度考えてみていただき、今日の勉強から意識してみてほしい。


中小企業診断士試験合格を目指すあなたにとって、きっと望む結果を手繰り寄せるための大きなカギとなることだろう。



マジコン診断士

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【1次試験】企業経営理論の過去問チャレンジ ~組織形態(3)

今回は2018年度の1次試験突破を目指す受験生に向けた記事である。

それではさっそく過去問チャレンジ!

【過去問チャレンジ】
企業の規模や経営戦略、環境条件などさまざまな要因によって、組織が処理すべき情報の量や質が異なるため、それに応じて機能別部門組織(functional organization)、事業部制組織(divisional organization)、マトリックス組織(matrix organization)など、異なる組織構造をデザインする必要がある。これに関して、下記の設問に答えよ。(平成20年度企業経営理論 第11問)


(設問)
機能部門-事業部門からなる恒常的なマトリックス組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。

(ア) マトリックス組織が有効に機能するためには、複数の命令系統に柔軟に対応し、コンフリクトを創造的に解決する組織文化の裏付けが必要である。
(イ) マトリックス組織では、機能マネジャーと事業マネジャーが同じ内容の権限を持つので、従業員は2人の上司の管理下におかれ高いストレスを感じる。
(ウ)マトリックス組織では、主要な権限を委譲された事業マネジャーと機能マネジャーのコンフリクトが発生しやすいので、トップマネジメントの情報処理負担は大きくなる。
(エ) マトリックス組織は、環境変化の速い複数の非関連事業に多角化した企業が、複数の事業部にまたがる横断的調整機能を導入したものである。
(オ) マトリックス組織は、現場での事業感覚が重要である組織に導入すると事業活動を制約してしまうため、主に本社機構に導入される傾向がある。




















(解説)
マトリックス組織とは、「機能別別組織×製品別組織」や「事業部制組織×地域別組織」等、複数の異なる系列をタテ・ヨコの2軸で組み合わせた組織構造のことである。指揮命令系統を複数持たせることで、経営資源の有効活用を図りつながら柔軟な組織体制を構築することを狙いに編成されることが多い。要は2つの系列を組み合わせていいとこどりした組織形態であり、1人の従業員が2つの部門に所属する形になるということである。そして1人の従業員が2つの部門に所属するということは、従業員は2人の上司から指示を受ける”ワンマンツーボスシステム”になる。

以上の前提知識を踏まえ、以下の各選択肢を検証していく。

ア:特に違和感はない。マトリックス組織ではワンマンツーボスシステムとなるため、複数の命令系統への柔軟な対応が必要である。そしてワンマンツーボスシステムだと組織間コンフリクトが発生しやすくなるので、コンフリクトを創造的解決する組織文化の裏付けが必要となるだろう。恐らく正解選択肢と思われるが、他の選択肢を検証した上で判断する。

イ:「機能マネジャーと事業マネジャーが同じ内容の権限を持つ」に違和感を感じたあなたは、その感覚でOK。そもそも「機能系統を管理するマネジャー」と「事業系統を管理するマネジャー」が別々に設置されているのは、マネジメントする内容が異なるからに他ならない。ゆえに「同じ内容の権限」を持つはずがないので×。

ウ:やや正誤判定が難しい。「主要な権限を委譲された事業マネジャーと機能マネジャーのコンフリクトが発生しやすい」までは正しいが、「トップマネジメントの情報処理負担は大きくなる」は誤りとなる。
そもそもマトリックス組織では、1人の従業員を2つの系列組織に所属させるワンマンツーボスシステムを採用して2つの系列のパワーバランスを確保することで、経営資源の有効活用と組織の柔軟性確保を両立させようとするものである。そしてそれを成立させる上では、2系統のボスのコンフリクトや調整の発生は予め想定しうるものであり、その発生を前提として設計される組織形態である。つまり、横断的調整機能をトップマネジメントにやらせる前提で設計してはそもそもダメなものということである。冷静に考えてみてほしい。仮にタテの系統が3つ、ヨコの系統が3つあるマトリックス組織では、3×3=9つの組織が出来上がることになる。もし9つもの部門で発生した横断的調整をトップマネジメントに委ねていたら、トップマネジメントは戦略的意思決定に専念できないどころか、睡眠不足でダウンしてしまうだろう。以上より、マトリクス組織におけるマネジャー間のコンフリクトはマネジャー間で調整するべきものであり、トップマネジメントがやるべきものではないので、トップマネジメントの情報処理負担は大きくならない。ゆえに×。

エ:選択肢ウでも説明した通り、マトリックス組織は経営資源の有効活用と組織の柔軟性確保を両立させようとするものである。「経営資源の有効活用」を成立させるためには、限られた経営資源を複数事業部間で共有する必要がある。その前提で考えれば、マトリックス組織では経営資源の共有効果、すなわちシナジー効果の大きい関連多角化の進展に伴って採用されるのが一般的であり、その効果が望めない非関連多角化で採用することは大きなリスクを伴う。ゆえに×。

オ:選択肢ウ、エで説明した通り、マトリックス組織は経営資源の有効活用と組織の柔軟性確保を両立させようとするものである。その意味で言えば、「現場での事業感覚が重要である組織に導入すると事業活動を制約してしまう」というデメリットはないし、「主に本社機構に導入される傾向がある」といったこともない。ゆえに×。


以上より、アが正解となる。

(解答)
(ア)


筆者はこれまで数十社以上の企業をコンサルティングしてきているが、マトリックス組織を採用している企業を担当したことは一度もない。その意味で言えば、本解説は筆者の実務経験を踏まえたものではなく理論として知っているレベルのものであり、あなたの知識レベルは変わらない。ぜひインターネットや書籍の情報も活用しながら、理解を深めてほしい。


マジコン診断士

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【読書をしましょう】問題解決の基本を理解をしましょう

今回の記事は久しぶりの「読書をしましょう」である。


今回は問題解決の基本を理解するための書籍をあなたにご紹介する。



今回あなたにご紹介する書籍は以下である。





著者はマッキンゼー時代に人材育成責任者を務め、現在はビジネス・ブレークスルー大学/大学院で問題解決を教えている。


しかしマッキンゼー出身の著者であるが、この本は敢えてプロのコンサルタントとしての問題解決ではなく、アマチュアの問題解決を本書を通じて伝えている。その理由は、自己の所属する組織や事業に関してはみなすでにプロだからだという。つまり、自己の所属する組織や事業についてよく知っているのだから、問題のあたりづけができれば問題解決は十分可能であり、その能力こそが企業の現場で求められているからだということである。



本書では、架空のパン屋”ベーカリーKENTA”を題材に、売上減少という問題を解決していくようなストーリーとなっている。なお、”ベーカリーKENTA”は従業員5名以下の小規模事業者であり、中小企業診断士の題材としてはピッタリである。


具体的には、以下のステップで問題解決をしていく。

①現状分析
②市場分析
③バリューチェーン分析
④インフラ分析
⑤解決の方向性


上記分析の過程では、ファクトベース思考、原因分析、図解(概念図)、フレームワーク等の手法が平易な言葉で散りばめられている。また、データ分析方法やクライアント企業へのインタビューのポイント等も書かれており、内容は非常にわかりやすい一方で実戦的な内容となっている。



対象となる読者は、以下の通りである。

①自分の所属している組織で問題解決をするために、問題解決の基本を一通り学びたい人
②中小企業診断士試験に合格し実務補修を控えているので、その前に問題解決の基本を一通り学びたい人



①の読者に関しては、本書で学んだことを活かして、ご自身の所属組織での問題解決に活かしていただきたい。

本ブログの読者の多くがコンサルティング会社以外の業種に組織に現在所属していると思うが、もしあなたが現状の立場のままでコンサルタントとしての問題解決力を養うためには、今の組織でそれを実践する以外方法がない。そのために今のあなたにできることは、コンサルタントとしての考えた方や問題解決手法を意識して活用し、ご自身の所属組織で問題を解決して成果を上げることである。

この経験は、あなたが将来コンサルタントを生業とする上で決定的に重要である。現在中小企業診断士試験の合格に向けて勉強している方も多いと思うが、試験の勉強と仕事での問題解決は並立するものである。もしここにトライしてみようと思う方は、本書を出発点に始めてみるのもよいだろう。
※過去記事「【実戦編】できるところからコンサルスキル ~読書は浪費?」も参照いただきたい。



②の読者に関しては、過去記事「【読書をしましょう】企業診断の基本理解を再確認しましょう(本年度の2次筆記試験受験者必読)」でご紹介した「コンサルタントのフレームワーク」の続編とご理解いただければよいだろう。

ご紹介した「コンサルタントのフレームワーク」は、中小企業診断士試験で学んだ内容を実務補修に橋渡しするための復習のための書籍である。その意味で言えば、診断士試験の勉強で学んだ知識のブラッシュアップが主目的であった。

今回ご紹介する書籍は問題解決の基本を事例企業に基づいて俯瞰していくという意味で、「コンサルタントのフレームワーク」よりももう一段だけ実戦寄りになっている書籍と思っていただければよい。

本書籍を一読することで、基本的ではあるが一通りの問題解決ステップを俯瞰することができる。実務補修をしっかりこなしたいという読者は、本書で書かれているレベルのことをきちんと理解し実践できてれば、一定のレベルのアウトプットが出せるような内容となっている。逆に言えば、「実務補修と言えども、この書籍に書かれている考え方、アプローチは最低限クリアしている診断報告書を出してほしい」と筆者がバロメーターとしてご提示している書籍だと思っていただけるとよいかもしれない。


本書は、問題解決の基本中の基本を学ぶ入門書として、コンサルタント未経験の若手社員が筆者の部門に入った際に必ず読ませている本である。もしあなたのお役に立てそうであれば、ぜひ読んでみてほしい。


マジコン診断士

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【全読者対象】”連関”を意識した勉強の必要性

昨日の記事(コチラ)では、過去問チャレンジとして企業経営理論の論点である「事業部制組織」について取り上げた。


さて、その出題の選択肢に、以下が含まれていた。


(イ) 事業部制組織では、各事業部を評価する統一的な基準がないために、本社機構のオーバーヘッドコストが高くなる傾向がある。
(ウ) 事業部制組織では、本社と事業部の間に擬似的な資本市場が存在することになり、一般に各事業部の限界利益率に応じて予算配分が行われる。


各選択肢の出題のポイントを一言で言えば、選択肢イは「事業部制組織の評価基準」、選択肢ウは「事業部への予算配分の基準」ということになるであろう。


その関係性を本社の視点から言えば、大まかに以下のプロセスを経ることが想定できる。

①(本社は)事業部制組織における評価基準を定める
②(事業部は)事業部を運営し成果を出す
----評価対象期間終了----
③(本社は)評価対象期間における事業部の定量実績を集計し、①で定めた評価基準に基づき評価する
④(本社は)③の評価結果に基づき、翌期の予算配分を決定する


以上を踏まえると、学習の論点としては大別して以下の2点があると考えられる。

①企業経営理論の視点から、まず事業部制組織がどのような特性を持った組織形態であるかを理解する
②①を踏まえ、財務・会計の視点から本社は事業部をどのような経営指標に基づき評価すべきかを理解する



さて、以上の論点を整理しただけでもわかると思うが、この問題は1次科目である「企業経営理論」と「財務・会計」を絡めた出題であることがおわかりいただけると思う。


このように、科目を超えて互いに関わり合っているような内容を筆者は「連関」と呼んでいる。



ここで一度、あなたがコンサルタントとして実際のコンサルティング現場に立っている状況を想像してみてほしい。


あなたがクライアントA社の現状を分析した結果、今後の経営環境の変化や戦略の方向性を鑑みると、組織形態は現状の機能別組織から事業部制組織への移行が必要と判断したとしよう。


その時、あなたは中小企業診断士の学習で学んだ知識を活かし、A社の現状とあるべき組織形態をA社の経営者にプレゼンテーションできるはずである。


そのプレゼンテーションを受け、A社社長がは「仰る通りですね。我が社も事業部制組織へ移行する時期なのですね。ぜひやりたいです。」と言ったとする。


さて、ここであなたの仕事は本当に終わりなのだろうか?



A社は、あなたのプレゼンテーション結果だけで、きちんと事業部制組織への移行ができるのだろうか?



きっとA社は


「今の組織人員をどのように再配置すればよいのだろうか?」

「事業部制組織移管後の事業部評価はどのようにすればよいのだろうか?」

「現在の製造現場はどのように新組織に対応させればよいのだろうか?」

「利用している基幹システムは今のままで大丈夫なのだろうか?」


といった多くの問題が噴出し、A社はそれに1つ1つしっかりと対応せざるを得ない状況になるはずである。


それらの問題の性質を鑑みれば、問題・課題解決のためには企業経営理論(組織人事)の知識だけでは不十分であり、財務・会計や運営管理、経営情報システム等の様々な知識が求められることになるはずである。



事業部制組織への移行は、あくまでA社の戦略的手段でしかないので、当然移行後にきちんとした経営・運営をして、しっかりとした成果を出させねばならない。

その意味で言えば、事業部制組織への移行をあなたが提言したのであれば、それを軌道に乗せる実行をしっかりとサポートする責任があなたにはあるのではないか?


以上の論理をあなたが納得できたのであれば、あなたにはご理解いただけるはずである。


”連関”を意識した勉強をして身につけた知識でなければ、コンサルティング実務で使い物にならないこと


を。




では、”連関”を意識した勉強とは、具体的にどのような手段で行えばよいのだろうか?


心配は無用である。


今のあなたの勉強における意識を変え、必要に応じて作業をアドオンするだけでよい。


それは、

何かを勉強している際に、「この論点って過去に学んだ〇〇の論点と関係がある気がするなぁ」と何かしらの気づきを得たならば、その気づきをその場で確信に変わるまでインプット&思考すること

である。



例えば、企業経営理論の事業部制組織の勉強をしている時に、ROIが出てきた。ROIは財務・会計で学習したことを思い出す。つまり、あなたはここで初めて連関の気づきを得たことになる。


あなたはその時点で連関が来たことに気づき、財務・会計のテキストに戻ってROIの部分を見に行くのである。


そしてあなたは、なぜ事業部制組織でROIが必要なのかをしっかりと思考して理解する。


その時点で納得できたならそれでOK。


まだモヤモヤしているのなら、インターネットや書籍に当たってリサーチして、モヤモヤを解消する。


以上である。



この作業を勉強に加えてしっかりと取り組むだけで、あなたの知識はより盤石なものになり、診断士試験においても大きな武器になるだろう。
※1次試験において、今後も科目を跨いだ出題が一定数なされることは間違いないはずである。また、このような連関を意識した能力は言わば「応用力」であり、2次試験で求められている能力そのものと言えるだろう。


また、日々の仕事や生活において連関の気づきを得て、その部分をしっかりと勉強するで、より実践的な知識となっていくことだろう。



本記事を読んで、「”連関”を意識した勉強の必要性」に共感いただけた読者は、今日からさっそく行動に移してほしい。


そのようなプロセスを経て培った知識は、きっとあなたの助けになることだろう。


マジコン診断士

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【1次試験】企業経営理論の過去問チャレンジ ~組織形態(2)

今回は2018年度の1次試験突破を目指す受験生に向けた記事である。

それではさっそく過去問チャレンジ!

【過去問チャレンジ】
企業の規模や経営戦略、環境条件などさまざまな要因によって、組織が処理すべき情報の量や質が異なるため、それに応じて機能別部門組織(functional organization)、事業部制組織(divisional organization)、マトリックス組織(matrix organization)など、異なる組織構造をデザインする必要がある。これに関して、下記の設問に答えよ。(平成20年度企業経営理論 第11問)


(設問)
事業部制組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。

(ア) 事業部制組織では、各事業部は独立採算のプロフィットセンターとして管理されるために、複数の事業部にまたがる統合的な製品の開発などは遅れがちになる。
(イ) 事業部制組織では、各事業部を評価する統一的な基準がないために、本社機構のオーバーヘッドコストが高くなる傾向がある。
(ウ) 事業部制組織では、本社と事業部の間に擬似的な資本市場が存在することになり、一般に各事業部の限界利益率に応じて予算配分が行われる。
(エ) 事業部制組織は、複数の製品一市場分野に進出している企業で採用される傾向が高く、事業部間の高度な連携をとることが容易になる。
(オ) 事業部制組織は、本社の情報処理負担が軽減されるとともに、事業戦略に関する権限が本社に集中するために、事業部の再編成や既存事業の融合を通じた新規事業を創造しやすくなる。




















(解説)
事業部制組織とは、事業部という管理単位を本社のトップマネジメント下に編成した組織形態である。各事業部には営業、製造等の事業運営に必要な機能を配置し、事業部のトップ(事業部長)は事業運営に関する意思決定権限を持つことになる。つまり、事業部は自己完結型で運営可能な単位ということになる。事業部をどのような観点で組織化するかという基準については、「製品(サービス)別事業部制組織」「市場(顧客)別事業部制組織」「地域別事業部制組織」等がある。

以上の前提知識を踏まえ、以下の各選択肢を検証していく。

ア:特に違和感はない。プロフィットセンターとは企業の中で利益(=収益-費用)を最大化する責任を持つ部門のことである。事業部は独立採算のプロフィットセンターとして機能することになる。一方で、事情部は自己完結型で運営可能な独立色の強い組織単位であることから、従業員は自己の所属する事業部の利益優先になるインセンティブが働きやすい傾向があるため、複数の事業にまたがるような取り組みは困難となる。恐らく正解選択肢であると思われるが、他の選択肢を検証した上で判断する。

イ:オーバーヘッドコストとは、特定の製品の生産や販売から直接発生するコスト(直接経費)ではない間接経費のことである。本選択肢の例で言えば、事業部運営から直接生じるコスト(事業部経費)以外の本社費と解釈すればよいだろう。本選択肢で言う本社機構の例で言えば、本社社屋の減価償却費や賃料、総務や人事、経理部門の人件費等が挙げられる。さて、本選択肢を検証する上では、「各事業部を評価する統一的な基準がない(因)」⇒「本社機構のオーバーヘッドコストが高くなる傾向がある(果)」の因果関係の妥当性を検証する必要がある。まず(因)に関しては、選択肢アで説明した通り、事業部はプロフィットセンターとして機能する。全社的な評価基準という意味で言えば、各事業部ごとに投下資本収益率(ROI)等の統一された基準で評価することが一般的であるため妥当ではない(選択肢ウの解説も併せて参照)。この時点で(因)⇒(果)が成立しないので、誤りとなる。ゆえに×。
なお、本社機構のオーバーヘッドコストが大きくなるかどうかは企業によるかもしれないが、筆者の私見では小さくなる傾向にあるのではないかと思っている。なぜならば、事業部制組織では事業部ごとに業務部門(間接部門)も配置されることになるため、その分本社機構の間接人員はスリム化する(事業部制組織を採用した時点で、本社の間接人員リソースの一部を事業部移管して対応することが多い)と考えられるからである。ただし、各事業部に間接部門が配置されることで、事業部間で機能重複が発生する可能性があるため、全社視点から見たトータルの間接コストは大きくなる傾向にあるだろう。

ウ:「本社と事業部の間に擬似的な資本市場が存在することになり」の文章がややわかりにくいかもしれない。この文の意味するとことは、「本社は事業部に対して投資するので、事業部はその投資に見合ったリターンで応えてね」ということである。つまり、「本社」⇔「事業部」の関係は「株主」⇔「企業」の関係と類似ですよねとこの文は言っている。以上を踏まえた上で考えてみてほしい。あなたが複数の企業に対して投資をするとしよう。その時、あなたはどのよう指標に基づいて、各企業に対する資金配分を決めるだろうか?当然のことながら、投資に対する期待リターンに応じて投資をするはずである(本来の投資は「期待収益率」と「受容可能なリスク」のバランスでポートフォリオを決めることになるだろうが、ここでは話をシンプルにするため簡便化)。だとすれば、本社も同じである。各事業部のに投下資本収益率(ROI)応じて予算配分することになるだろう。以上より、「一般に各事業部の限界利益率に応じて予算配分が行われる」の「限界利益率」は妥当ではない。もちろん、本社が投資対効果を判断する上で限界利益率を1つの指標として活用することはないことはない。しかし選択肢の文「本社と事業部の間に擬似的な資本市場が存在する」を踏まえると、損益分岐点分析(P/L視点の分析)というよりは投資に対するリターンを直接評価可能な指標(P/L視点&B/S視点)である「投下資本収益率(ROI)」の方がより妥当性が高いといえる。ゆえに×。

エ:「事業部制組織は、複数の製品一市場分野に進出している企業で採用される傾向が高く」まで読み進めて、「事業部間の高度な連携をとることが容易になる」で違和感を感じたあなたは、その感覚でOK。選択肢アで説明した通り、事情部は自己完結型で運営可能な独立色の強い組織単位であることから、従業員は自己の所属する事業部の利益優先になるインセンティブが働きやすい傾向があるため、事業部間で高度な連携をとることは容易ではない。ゆえに×。

オ:「本社の情報処理負担が軽減される」は機能別組織と比較すれば軽減されるだろうが、「事業戦略に関する権限が本社に集中する」は誤りである。事業戦略に関する権限は事業部に委譲されるため、本社に集中しない。そうであると、事業部間の連携やセクショナリズムの除去が前提条件となるような取組み、つまり本選択肢でいうところの「事業部の再編成や既存事業の融合を通じた新規事業を創造」は一層困難になるだろう。ゆえに×。


以上より、(ア)が正解である。

(解答)
(ア)


前回の過去問チャレンジ(コチラ)で取り上げた機能別組織との特性の違いは、2次試験を見据えても非常に重要な論点である。テキスト等で理解を深めておいてほしい。


マジコン診断士

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【キャリア】コンサルタントって楽な仕事?

コンサルタントの仕事とはなんだろうか?


辞書的な意味で言えば、


「企業の経営課題を明らかにし、解決するための助言・アドバイスをすること」


となるであろう。



上記の字面だけを捉えると、あなたはこう感じたりしないだろうか?


コンサルタントはレポート作成してクライアント企業に助言をするだけであり、なんとなく楽な仕事だなぁ


と。




もしコンサルタントに対してこのようなイメージをあなたがお持ちであり、それを動機としてコンサルを目指しているのであれば、以下の筆者のツイートとそのリンク記事をご一読いただきたい。




この記事を読んで、あなたは何を感じただろうか?


「そうだよな。現場と労を惜しまないコミュニケーションもせず、かっこいいレポートを出すだけのコンサルタントはインチキコンサルなんだな!」


そのような意味で受け止めた読者も多いことだろう。


実際のところ、経営者にレポートを提出するだけだったり、偉そうな助言をするだけでクライアント企業から多額のお金を貰っているコンサルタントも多い。
※中小企業診断士にもこのような人は多い。仮にあなたの先輩診断士がここまで記事を読んだら、きっと多くの人が「ドキッ!」とするはずである。



以上を踏まえた上で、筆者があなたにお伝えしたいことは


現場と汗もかかずにレポートを出すだけ、助言をするだけで成果が出せるのであれば、それでもよい


ということである。



この筆者のメッセージングを受けて、それを意外なものとして受け止めた読者も多いかもしれない。



先ほど、筆者はコンサルタントの仕事を「企業の経営課題を明らかにし、解決するための助言・アドバイスをすること」と定義した。



この定義を見ていただければお分かりいただけると思うが、コンサルタントのミッションはあくまで


企業の経営課題を解決すること


である。




その意味で言えば


現場と労を惜しまないコミュニケーションをとることも、経営者にレポートを提出して助言をすることも、経営課題解決のための手段に過ぎない


ことがおわかりいただけると思う。



もちろん、レポートを出すことだけが目的化しているコンサルタントは論外である。
※成果に結びつかないコンサルティングレポートはゴミ以下である。


しかし、現場とコミュニケーションもせずに、経営者にレポートを出すだけ、助言をするだけで成果が出せるのであれば、それでもよいと考えている。



ちなみに筆者はどうかと言えば、以下のツイートから察していただきたい。



本記事を読んだことを契機に、あなたなりのコンサルティングスタイルに関して、今のうちからイメージを膨らませてみてもよいのではないだろうか?


マジコン診断士

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現役コンサルタント。中小企業診断士試験独学ストレート1発合格。モットーは卓越した本質的スキル・知恵に基づく”マジなコンサル診断士”であり続けること。
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